2発目です
髪を切る時「どうしようかな」なんて1週間ほど悩むんですけど、“悪い所で”個性を出そうとする癖が顔を覗かせて、ロクなことにならないケースが大半です。
クソですね。いや、僕じゃなくて、世の中のほうが。
2回目にしてリクエストを頂いています。売れっ子かもしれない。
熱いオタク語りを要求されています。今後読者は減り続けるかもしれない。
些細な事です。友情の前では──。
以下、『鬼滅の刃』20巻以降のネタバレがめっちゃあります。そう、鬼滅の刃の話をします。
一時期に比べ、いわゆる『鬼滅ブーム』は落ち着いてきていますね。夏頃はほんと、名前を見ない日は無いほどでした。
アニメ化で一気に火が付いたわけ(だよね?)ですが、ニュース特集なんかでもストーリーの魅力がよく語られていた覚えがあります。
盛んに言われていたのが、「感情移入出来る敵」。アニメでやった分の話でもそれはよくわかる所ですが、ここではもう少し違う観点から、敵、すなわち鬼達に感情移入していきたいと思います。
上弦の壱・黒死牟という鬼
(↑こういうテクを覚えました…!楽しい)
ざっくり説明すると、無惨様の配下でいっちゃん強い鬼、それが黒死牟です。まあ、読んでるよね。
この男、それはもうハチャメチャに強く、鬼殺隊最高レベルの勢力をもってしてもまるで歯が立ちません。
しかし、全滅寸前で成長し続けなんとか食らいつく鬼殺隊。追い詰められた黒死牟は、命の危機に瀕し、失ったはずのある記憶を思い出すのでした。
継国縁壱
人間だった頃、黒死牟は「継国巌勝」という侍でした。彼には双子の弟がおり、名を縁壱と言います。
縁壱は言葉も話せず、呪われた様な痣を持つ「忌子」でした。巌勝は、そんな弟を哀れみ、可愛がってやりました。侍を志し、家を継ぐであろう自分と違い、この子はきっと寺に出される。親も環境を分けさせているが、自分ぐらいは。
ある日を境に、全てが変わります。
話せないと思っていた弟縁壱は、ある日突然喋り出し、稽古についてくる様になりました。
そしてまたある日、試しに竹刀を振りたいと言い出します。縁壱はそのまま、巌勝が今まで一太刀も浴びせられなかった兄弟子を、打ち倒してしまうのです。
縁壱こそ、剣の天才そのものだったのです。
↑縁壱さん。痣と目つきがカッコいい!
鬼狩りへ
あんま説明ばかりでもアレなんで割愛しますが、紆余曲折(ここ、細々したシーンに沢山兄上のコンプレックスが詰め込まれています。絶対読んで欲しい。)あり、継国兄弟は共に鬼狩りの剣士となります。これが、鬼殺隊の前身となりました。
妻子までも捨て、縁壱に追いつくため鬼を狩り続ける巌勝。縁壱と同じように“痣”が出る事で、身体能力が上がる事に気づきました。次々と痣を発現する仲間たち。そして鬼狩りの戦力がピークに達しようとする中、その仲間たちが次々と亡くなっていきます。“痣”の正体は、寿命の前借りでした。
打ちひしがれる巌勝のもとに現れたのは、鬼舞辻無惨。道を極めたい巌勝にとって、「永遠の命」という誘惑はあまりにも刺激的でした。こうして彼は上弦の壱・黒死牟となるのです。
勝ち逃げ
長過ぎ。ウケる。まだまだ行くからな。
ある夜、黒死牟の前に縁壱が現れました。あれから60年も経っているのに、縁壱だけは寿命を迎えていなかったのです。
全ての憎しみを断ち切らんと剣を振るう黒死牟でしたが、縁壱に全く歯が立ちません。次の一太刀で終わる─。しかし、いつまでもその一閃は届きませんでした。
縁壱は、構えをとったまま、寿命で亡くなっていました。
黒死牟はおろか、この世の誰も(無惨様でさえも)、彼に何らダメージを与える事は出来なかったのです。
黒死牟の道
時間は進み、決戦の場。黒死牟は首を撥ねられても死なず、刀を全身から生やし、異形の者として復活します。
ふと敵の刀に映った己の姿。侍など以ての外、人とすら呼べないその有様に、黒死牟は自問します。
こんな姿になってまで、負けたくなかったのか。強くなりたかったのか。死にたくなかったのか。
己が生き恥に終わりを悟った黒死牟は、その場で崩れ落ちます。こうして、「継国巌勝=黒死牟」の生涯は終わりを迎えました。
実物は情感半端ないので、是非読んでくださいね。
兄上大好き!
縁壱は巌勝の事を「兄上」と読んで慕っていました。故に、彼はネットで専ら兄上の愛称で親しまれています。
この兄上を構成する巨大感情こそ、僕が鬼滅の刃を大好きな最大の理由と言っていいでしょう。鬼滅の刃後半は、こういうバカでかい気持ちが随所に出てきます。これがいいんです。
兄上は、それこそ自分の使命だと言わんばかりに剣に励んでいます。そして、武家の長となる自覚も強く、呪いだ何だと言われている弟にもこっそり優しくしています。少年期の兄上は、間違いなく器の大きい男でした。
歪むのはやはり、兄弟子の件があってからでしょう。インチキの様な能力を沢山持つ縁壱は、「剣よりも兄上と遊びたい」などとのたまうワケです。
今まで哀れんでいた者は 己より遥かに優れていた
望む者の下へ望む才が与えられればどんなに良いだろう
兄上のモノローグからは、ありありとその感情が見て取れます。
しかし優しい縁壱は、自分が跡継ぎにされる前にサッサと出奔してしまうのです。
そして、鬼など知らず、嫉妬心も忘れた頃、縁壱は神懸かった剣技と共に彼の目の前に舞い戻るのでした。
(縁壱にも、鬼狩りを志す決意までのイロイロがあったのですが、ここはまあ、読んだり調べてもらって。)
縁壱がある種悟った様な性格に育っていたのも、兄上の気持ちを逆撫でしたかもしれません。
この世で最も恵まれた男が、「次世代に期待できる」とか「自分は大したものじゃない」とか言い出すわけですから。
でも、その「最も恵まれた」は、剣の道しか見てない兄上にとっての話です。縁壱は縁壱の不幸を抱えています。このギャップがいいですね〜。
ずーっとここがズレてるから、継国兄弟は永遠の離別への最短ルートをひた走っていくのです。
そんな兄上の回想の中、顔がちゃんと書いてあるのは本人除いて僅か2人だけなんです。鬼となり400年、朧げな記憶の中。1人は、鬼舞辻無惨。そして
「太陽」継国縁壱の顔だけが、兄上の記憶の中にあるのです。
最高ですよね。マジで。いい胃もたれ。これが少年漫画の湿度か?
20巻は、この次の見開きページでキレーに終わります。素晴らしい編集。
理想とか幸せとか、人の数だけあるなんてよく言いますよね。
欲しいそれらを持ってる相手は、とてもとても贅沢に見える気がします。
兄上は「隣の芝生は青い」の究極形かもしれないですね。そう考えるとなんか可愛い。
さて、いよいよ無限列車編の封切りも近づいてきました。今から期待で緊張凄いです。
上弦の鬼達のcvも判明し始めそうな。うわー気になる。
兄上のこの屈折を出し切ってくれそうな人〜!
タピオカ、結局まだ食べてません。でも王将行きましたよ。
王将の餃子、やっぱりうまいですね!
次のテーマ、いつでも募集してます。マジで長さが3分の1ぐらいになりそうなので。
それでは皆さんさようなら。